【原因判明】合奏のテンポが走る現象の原因を東大が解明!
多人数で、音楽を演奏すると、よく起こりうる現象の一つに
「テンポが走る」という現象があります。
機械などで、正確に演奏するのとは違って、人間の手での演奏は必ず
ゆらぎがあるもので、同じ人物が同じ曲を演奏しても、毎回演奏のテンポや
質というのは、一定しない…だからこそ、人力での音楽には心揺さぶるものがあるとも考えられています。
どんなに練習しても、一つとして同じものはない不完全なものだからこそ
逆に感動を生むというのは、面白い話ですが、このテンポが走るという現象も
まさに、複数の人間が合奏を行うからこそ起こりうる現象です。
今まで、このテンポが走るという現象については、合奏に参加している
演奏者の緊張状態や高揚といった心理的要素が多分に影響していると考えられていました。
しかし、この度東大の研究チームがとある実験を行い、合奏のテンポが走ってしまう
現象の根本的な原因について、解明をしたと発表したのです。
他人に合わせようとして、テンポが速くなる。
なかなか興味深い実験の結果を発表した東大。一体、どんな実験を行ったかというと…
合奏のテンポ、速くなるのはなぜ? 東大が原因解明
東京大学はこのほど、合奏のテンポが無意識的に速くなる原因を解明したと発表した。一定のリズムで指をタッピングしてもらう実験を、ソロ・ペアそれぞれで行った結果、ペアの場合は、タップが早い方に合わせようとするタイミング調節が起きていたという。
音楽を演奏する際、テンポはしばしば意図せずに速くなってしまう。この現象は演奏やテンポが「走る」と呼ばれ、合奏でより顕著になる。その原因はこれまで、演奏者の緊張や高揚といった心理的な要因だと考えられていた。
今回、メトロノームと同期させて指をタッピングしてもらう実験を、一般成人24人(12ペア)を対象に、ソロ(1人)とペア(2人)でそれぞれ行った。
それぞれ、メトロノームと同期して指タッピングを始め、10秒後にメトロノームが停止した後も同じテンポで190秒間タッピングし続けてもらった。ペアはさらに、パートナーとシンクロを維持してもらうよう求めた。テンポは3種類設定。ソロで各テンポを3回ずつ、ペアで2回ずつ行ってもらった。
ソロでは、テンポが徐々に速くなったり遅くなったり、加速減速を繰り返すなどさまざまなパターンがあった一方、ペアでは、どのテンポでも8割以上が徐々に速くなり、平均で約7~9%タップ間隔が減少した。参加者がお互いのタップ間隔の差に基づいて次のタップ間隔を調節し、その結果としてタップ間隔が短縮し、テンポの加速が起きたとみている。
ペアのうちタップが速くなりがちな方の人が一方的にリードしたためというより、2人のタップのうち早いほうに対して優先的に修正するというタイミング調節により、テンポの高速化したと考えられるとしている。
画像出典:合奏のテンポ、速くなるのはなぜ? 東大が原因解明より
つまり、心理的な要因というよりは、一定のリズムから外れた場合に
速度が速いほうに、遅いほうが優先的に合わせる意識が働くということで
最終的に、その積み重ねでテンポが速くなるということ。
確かに、人はどちらかと言えば、遅い方に合わせるのが苦手なのかもしれませんね。
動作が早いことは、割と努力でなんとかなりますが、逆に遅くやるということは
意図的にやらないといけないものであって、却って意識的にはやりづらいと聞いたことがありますね。
この研究結果は、今後合奏などの練習の場で、テンポが走る原因を
究明するために、かなり参考になる結果かもしれませんね。
指導者にとっては、効率的な練習をするための指針となりうる話かもしれません。
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